今日は一日
JB (ジェームズ・ブラウン) & ファンク 三昧
2016.05.03
NHK-FM
12:15~18:50、19:20~22:45
MC:吉岡正晴/オダイジュンコ
ゲスト:井筒和幸/堂本剛/山下達郎
ライブゲスト:オーサカ=モノレール/ズクナシ
堂本剛さんは2人目のゲストとして登場。1時間半たっぷりと、本当に楽しそうにFUNKやスライへの愛を語り尽くしました。
💜堂本剛さん
🔶オダイジュンコさん
🔷吉岡正晴さん
🔶この時間は、素敵なゲストの方と一緒にファンクの魅力に迫ってまいります。本日2人目のゲスト。お迎えするのは、堂本剛さんです。
🔷堂本剛さんと言えば、アイドルという面を持ちながら、2002年には「街/溺愛ロジック」でシンガーソングライターとしてソロアーティスト活動を開始してるんですね。そのサウンドが、かなりスライ・ストーンのファンクに傾注しているんですよね。
《リスナーからのメッセージ:省略》
🔶堂本さんを通じてファンクを知るという時代に。時代、変わったんじゃん!っていう、そういうビックリの展開もありつつですね、もうこれは百聞は一見にしかずということで、堂本さんのナンバーをまずは1曲をお聞きいただきたいと思います。去年リリースされましたアルバム「TU」からのナンバー「Tu FUNK」。ご本人の登場はこの曲の後すぐです。
🔶それではご登場いただきましょう、堂本剛さんです。
💜どうも堂本剛です。こんにちは。どうもありがとうございます。呼んでいただきまして。もうこんな「ファンク三昧」なんてタイトルのついている場所にですね、呼んでいただけるなんて、本当に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
🔷本当にようこそいらっしゃいました。
💜僕、ファンク・マニアではないんですけど、ファンク好きなんですよね。
🔶ファンカーなんですよね。
🔷ファンカティアね。
💜ずっとやり続けてきてて。「堂本剛」っていうネームと「ファンク・ミュージック」っていうものを、一緒に考えてもらえるようなところに来るには、もっともっとやらなきゃ、もっともっとやらなきゃ、と思いながら、いろいろ日々を過ごしてきたんです。
💜この「ファンク三昧」っていうタイトルがついた場所に、なんか今、僕がしれっと入ってきてる今日っていうのは、良い意味で、過去の自分からするとすごい違和感があります。でも、今までいろいろ、僕のファンクミュージックとかで、ファンクの良さというものは、僕なりに綴ってきましたけど、こういう「ファンク」に特化してる、ここの一部に僕が入って来れてるっていうのは、本当に、僕もそうですけど、ファンの方もそうだと思うんですけども、仲間も本当に喜んでくれるだろうなぁと思って。
🔶「Tu FUNK」なんていいグルーヴじゃないですか!ほんと気持ちいいグルーヴ。サイコー!
💜歌詞も特にないままね。
🔶ファンクですもの。
🔷去年出たアルバム「TU」。作ってるSWING-Oさんとか、僕も仲良くさせてもらってるんですが、
🔶レギュラーの番組のほうにもご登場いただいて。
💜あ、ほんとですか。ヒゲおじさん。
🔷今度堂本さんに会うというので、電話していろいろ話を聞いたんですよ。そしたらもう、ほんとにファンク好きだっていうのが伝わってきました。
🔶(曲を)聞いてみれば、もうファンク好き以外の何物でもない、っていう。
🔷もうびっくりですよ。去年だったか、SWING-Oさんに「剛くんのはもうスライだから、絶対来聞いてください」とかって言われてて、その時から気になってたんですけど、今回こうやってお会いできて本当に光栄です。
💜ありがとうございます。
🔶この番組の中でも、とにかくずっとファンクとかソウルとかを追求してきたですけど、長年日本という国においては、そのいわゆるJ-Popワールドと、いわゆるソウルとかファンクを追求してる世界っていうのは、もう分断されたシーンだったわけですよ。
🔷まずJ-Popと洋楽が分かれるからね。
🔶その洋楽の中でもファンクっていうのは、その担い手の方たちっていうのは、すごくアンダーグラウンドで。今はちょっと逆輸入で、世界で活躍していらっしゃるオーサカ=モノレールとかそういうケースもあるけれども、でも、基本的にはアンダーグラウンドみたいなことで、本当に分断されてるシーンという認識だったんですね。その中で、こういう方(剛さん)がいらしたっていうのは、もう私にしてみれば、チェンジの時が来ていたんだ!っていうことで。もう本当にそういう意味でも、今日はどんな思いであなたをここに迎えたことか!みたいな事なんです。
💜僕は、ジャニーズに入って、そんな中で、社長が、ジャニーさんが、「音楽をやりなさい」と。で、音楽をやるときに、「プロデューサーをつけるか、自分でやるか、どっちか決めなさい」って言われて、自分で作りたいなぁ〜みたいな。自分で作ったご飯を自分で食べる、じゃないですけど、なんかそんな感じがいいかなと思って、「生意気かもしれませんが、自分でやりたいです」「じゃあそれでいいんじゃない」から始まっていったんです。
💜その時はまだ「ファンク」っていうものに出会ってはいないんですけど、ファンクに行きたがっている自分に気づいているというか。要はグルーヴしたいってことなんです。
💜自分が本当に楽しんでる、そのムードを音楽にのせるべき。自分が本当に楽しんでいるムードを作るためには、自分が本当に疑いもなく愛せる仲間が必要で、オーディエンスも必要で。そして、自分自身が自分に嘘をついていなくて、無垢純粋で音を鳴らす・グルーヴする =(イコール)今を生きている・僕は生きているんだ、というのを、たった今この瞬間を生きているんだ、の羅列をグルーヴしていく、みたいなことを、とてもしたがっているのには気づいていて。
💜それで、ギタリストの土屋公平さんに出会い、リハの時に公平さんの弾いたフレーズがとんでもなくカッコよくて、ヤバいと思い、公平さんに「失礼かもしれませんが、先程弾かれたフレーズ、超かっこいいと思いました。それだけを伝えかったかったんでお声掛けしました」って言ったら「何かあったら連絡しておいでよ」って連絡先を教えていただいて。
💜で、その後にお話ししていったら、「君は今、ロックとかそういうことやってるけど、本当はブルースが好きなんじゃない?」って。で、ブルースでアルバート・コリンズとかいろいろ聴き始めた時に、たしかにブルースが好きかも、でもブルースって音楽は何なんだろう?なんか魂の叫び・嘆きか、みたいな。この人がこういう人生を生きている、そこに付随するいろいろな感情が浮遊しているもの、あぁこの感じが僕好きなんだなっ、ていうのを僕が理解しただろうのタイミングで、「これ聞きなさい」ってスライが来たんです。
🔷アルバート・コリンズからスライ・ストーンへ。
💜「ファンクっていうのはいろいろな、ディープなのもあるけれども、ポップなのもあるけれども、このスライのファンクっていうのは、太陽の似合うファンクだから、これを君は聞くべきだ」と。「はいわかりました」と、わからないまま、それで『暴動』を聞き、そこからどんどん遡っていくんですけれども、その中で、なんていうんですかね、スライ・ストーンが作っている環境が知りたくなる音楽だったんです。
🔷どんな機材使って、どんなスタジオで、どんなメンバーと…
💜これはどんなタイミングで、24時間のどのタイミングでこのフレーズが浮かんでて、浮かんでから何分後にすぐ録音に入ってる位のフレーズじゃないかな、とか、そういう人間性がすごく見えるアレンジで、「この人ちょっとヤバいかも!」って思い始めてから、それでスライにどんどんはまっていきながら。
💜で、僕は「グラハム先輩」(ラリー・グラハム)って呼んでるんですけど、
🔷ラリーですか!
💜グラハム先輩も気になったりとか、シンシアもいいなとか、どんどん一人一人をピックアップしながら見ていくことで、またスライがより見えてくるっていう。スライだけにピント合わせていると、ちょっとスライが見えないんですよ。スライを囲んでいるグルーヴを一つ一つ見ていくと、だからスライなのか、だからスライはこの音符を選んでるはずだとか、そういうものが紐解けたようで、そこからもうどんどんどんどんのめり込んでいき。ただ、自分がスライをやっても仕方がないので、スライはスライなので、僕は僕なんで。僕が、日本人の、奈良人の僕が、ファンクを鳴らす、これをまず考えましょう、というところに、自分の議論を持っていきながら。
💜で、ジャニーズでファンクやるっていうこと自体が、とても大変なんですよ。超大変なんです。
🔷大変でしょう。
🔶どんなことか。
🔷その苦労も聞きたいけどね。
💜ほんとに最初、僕はファンクやりたいと思って。社長は「君のやりたいことをステージでやるべきだ」と。「最初、ファンの子は理解しないけど、彼は何をしたいのか、何を私たちに訴えているのかを、勉強しようとする、君のファンはとても良いファンだから」って言ってくれて「そこを信じて大丈夫だ」って言われたんです。
🔷社長すごいなぁ。
🔶すばらしい。
💜「よし!それじゃぁオレほんとにファンクやる!」って言って始めたんです。見よう見まねで。
🔷それが2004年頃?
💜はい。それでいきなりベースラインのリフから始まる曲とか、結構ブッコんだんですけど、やっぱり最初ファンの方もポカーンとされまして。
🔷社長は、堂本さんが作られるそのファンクの音楽、例えばスライなんかに影響受けたものを、「こういうのができました」って見せて、「わかった出せよ」って言うんですか?「ここはこうしろ」とか。
💜何にも言わないです。もう「君が鳴らしたいものを鳴らしなさい」っていうそういう教えなだけです。
🔷いいですね。
💜だからもう、その社長の「音楽やりなさい」ってところもあったし、色んな人、ミュージシャンが「君がたぶん鳴らしたいものはこれだよ」って。“鳴らしたい音”じゃなくて「“鳴らしたいソウル”はこれだよ」っていうのを公平さんに教えてもらって。あと技術的なものはいろんなティーチャーがいますから、その先生の教え通り、こんにちまで来たという感じです。
🔷なるほど。
🔶ギターって何歳位から始めたんですか。
💜ギターは番組で始めたんで、17か18位だと思うんですよ。それでいわゆるジャズコード的なものとか、そういうおしゃれコードよりかは、もう本当にシンプルなカッティングと単音のリフっていうんですかね、あれに魅了されてまして。
💜一応、昨今の音の流れもあるので、ちょっとディストーションも踏んだりとか、ワウ踏んだりとかして歪ませてっていう風に、音が抜けるようにプレイすることの方が多いですけど、実際は、ノー・エフェクトで、ぺんぺんぺんぺん弾いてたり、刻んでたりとか、ぽろぽろぽろぽろいってるリフとか。
💜スライがブルーノートに来たときに、ステージに上がって、丸椅子でくるくる回ってるだけで、全然弾かへんくて。
🔷キーボードの前に座ってね。
💜くるくる回ってんなぁっていう。それでも、スライ超カッコイイって思うって事は、凄いことじゃないですか。ミュージシャンが弾かずにくるくる回ってるだけで「やばい!ファンク感じる!」とか。「ヤバい!スライ!」と思った時点で。こういう風なことを思わせられるような人なわけですから。
🔷まぁレジェンドですよね。
💜その日の公演で、ほんのちょっとだけ、ペペペーんって弾いたんですよ、それだけでもちょっと「おおー!」と思いましたし、ほんとに単調なクリーンなぺぺぺーんでしたけど。
🔷でもあのライブハウスのライブは13分ぐらいしかいなかったんですよね。
💜あっという間にいなくなっちゃって、あれ?もう行っちゃうの?みたいな。
🔷あれはちょっと僕びっくりしました。
💜いやでもほんとにね、いろんな諸先輩方から注入されたファンク魂なんでしょうね。気づけば注入されてたという。
🔶ファンクってそういうものなんですよね。気付いたらそうなってしまっていた、みたいな。
💜そうなんですよ。
🔶ということで、ここからは堂本さんオススメのファンクナンバーをご紹介いただきながら、ファンクの魅力をさらに掘り下げていきたいと思いますが、1曲目は、ここまでね、スライの話してきてますからね。
💜そうですね、スライですね。スライ&ザ・ファミリーストーン。もうこの曲のリフ、れーれーれー、あの後ろにふぁーんってなってる、あの始まり方が、もうまず何が始まったのかが脳みそでは考えられないっていうようなイントロだと思ってるんです。この「I Want To Take You Higher」。これはちょっとですね、僕の大好きな曲なので、スライの曲としてまず、かけさせていただけたらなと思います。はい。
♩I Want To Take You Higher/ Sly & The Family Stone
🔷もしスライに30分会えます。堂本さんが30分インタビューできますというチャンスを与えられたら、どうします?何聞きたいですか?
💜「スライは、亡くなったあと何をしますか?」を聞きたいです。
🔶いいですね〜いいなぁそれ。
🔷亡くなったあと?
💜今やっぱり、体があるうちのスライだと思うんですけど、スライは亡くなったあと何をしようと思ってますかっていう質問をしてみたいですね。
🔷おもしろいですね、それ。
💜音楽的なこととかいろいろ聞いてみたい事は山ほどありますけど、でもなんかそういう論点じゃないことを、スライにぶつけたときに、スライがどんなセリフ言うのかな〜みたいな。
💜で、そのセリフ、パーンってスライが言ったそのセリフを、土下座か土下寝して、「そのフレーズを僕にください」って言います。それで曲作ります。
🔷じゃあ共作・スライ・ストーン&堂本剛なんだ。
💜もうそんなんなったら、僕ずっとその曲聞いて生きてけますね。でも、それくらい、彼の持ってるメロディーとかアレンジの脳みそっていうのにも興味があるんですけど、彼が何を発するのかみたいなところが、とても興味ある相手っていうか。
🔷来日してた時も、部屋にコンピューターとキーボードを置いて、ずーっとひたすら暗い部屋の中でじっと曲作ってたらしいんですよ。多分彼はそういう機材があれば、1日中曲作ってるみたい、今でも。もう70超えているけれども、音楽のアイデアっていうのかな。新しい機材があったらそれ欲しい、みたいな感じで、そういうのをどんどんやる。今作っているものは、なかなか表に出てこないけれども。アーティスト/ミュージシャンとして、スライ&ザ・ファミリー・ストーンというと、ヒット曲が70年代にしかないから、もう過去の人って捉えられがちなんだけれども、そんな事はなくて、実は今でもずっと作ってるという。
🔶現在進行形でね。
💜「ファンクをやってる意味」とか「ファンクってなんですか」っていう問いをかけられたときに、僕がふと言った言葉は、やっぱり「ファンクは仲間を鳴らすこと」。で、イコール「自分も鳴ってること」。仲間とじゃないと、「家族とじゃないと、ファンク鳴らせない」って答えに今僕はたどり着いてます、みたいな話をしたんですよ。
💜やっぱり仲間とか、大切な本当に無垢純粋に愛せる相手と音を鳴らすって、とても有意義だし、とっても気持ちいいことなんですよね。そうすると、自分は何を感じるかというと、「あー生きてるな」って感じるんですね。だから、自分が生きているということを鳴らす、イコール、ファンクだって僕は思います、って話をしたんです。
🔶それはもう、ブーツィー・コリンズのファンクの定義と一緒です。
💜本当ですか。
🔶ブーツィー・コリンズに「ファンクの定義はなんですか?」っていう嫌な質問を昔したことがあるんですけど、そしたら、「何にもない、エアコンもない、8畳間くらいのところに20人ぐらいが集まって、食べるものもサンドイッチがひときれしかなくて、それでもみんなでそのサンドを分け合いながら音を鳴らして楽しめること」
🔷それがファンク、と。
🔶まるで「一杯のかけそば」のような話だったんですけど。「ひときれのサンド」っていう。
🔷良い話ですね。
🔶それ同じことですね。
💜仲間と鳴らす音楽と、ビジネス的に鳴らす音楽は、ちょっと違うなっていうのは感じてます。
🔷それはもう60年代70年代以降、全然違ってますよね。
💜そっちがいいか悪いかは、それはどっちでもいいと思うんですけど。その人が決めることなんで。僕はどっちが良い悪いはあんまり決めないタイプなんですけど、ただ、やっぱりそのスライの音源を聴いたときに、ボリュームレベルとか、いろいろ聞いていくと、良い意味でアンバランス感がある曲もあるので、これやっぱ宅録な感じすごくするなとか、どういう環境で入れてんのかなとか、レコーディングスタジオにわざわざ入って鳴らしてるのかなとか、その音をひらめいてインプットするまでのスピードっていうんですかね、タイム感が、これ、短い中でインプットしたリフでしょ、みたいな。
🔷スライのレコーディングって、きっちりしてないんですよね。何時にスタジオ入ってミュージシャンが集めてきっちり、みたいなじゃなくて、割とルーズにやってる感じで。「まぁちょっと来いよ」みたいな感じで。それはジョージクリントンも同じなんですが。それで、そのルーズな中で、あとはもう一つ、酔っ払ってる・ハイになってるっていう。本当だったら正確に弾かなきゃいけないところが、微妙にズレちゃってるとか。でも逆にズレたからグループが出るっていうのもあって。その辺のいろんな環境でああいう風になってきてるんじゃないですかね。
💜もうそれは音聞いてると、やっぱそうだよなっていう。だんだんわかるんですよね。だから自分自身も、今はもちろん何時に入って何曲録るとか、今日はじゃぁリズム隊だけ録るとか、コーラス録りますとかってなるんですけど、極力、その形式ばったものを壊す役割を、僕はしてまして。
🔷自分のレコーディングで?そうなんだ。
💜ただ、“何時間”は守ります、怒られるんで。何時間かは守りますけど、その何時間を有意義に過ごしましょう、ということで。「そろそろやったほうがいいかな〜」みたいなムードになるんですけど、「もうちょっと休憩しましょうよ」とか言って。「昨日あそこ行って歩いてたら、こんなことあってどうでこうで」っていう関係ない話を、ただ仲間やし、好きな人たちだから、まぁペチャクチャ喋るんですよ。そうするとそれこそSWING-Oが「そろそろやらへん?」って言い出して、「あーごめんなさい。そろそろやったほうがいいですね、じゃあ1回やりましょうか」ってなんとなく入って、それで「せーの!」でやったりとか。
💜あとは、どうしてもここのリフみたいなものが欲しいけど浮かばないな、の時に、もうそのまま浮かばないままスタジオに行っちゃったりして。で、スタジオでひらめいたやつを弾いてもらったりして。全く閃かへん時は、誰かを名指しして「ちょっとここな何か考えて」みたいな。
💜「いやそんな無茶な」「いやいや君ならできる。君ならできるよ」っていう事で「あと5分ぐらいで考えてくれる?」って冗談で言いながら。そしたらかっこいいリフがバーンと出てきたりしたときに、「イエーイ!」ってなって、それでスタジオのテンションが上がって、「じゃぁ録ろうよ」って頭からバーンと録っちゃう、みたいな感じで、レコーディングするみたいなことを、極力やってますね。
🔷へーいいですね。
💜だからもう、状況とか空間とかムードを、音にのせたいんです。でも昨今、マスタリングしていくと、そこ切られちゃうんです。そこ落とされちゃうんです。すごい切られるんです。だから、天井・空間とか、ボーカルのブレスのスピードとか、「あー」って言った後のサスティーンの切れる速さとか速いですし。とにかく切られていっちゃうんです、そういう部分が。
🔷それは日本のマスタリング・エンジニアですか?
💜っていうか、もうやっぱり、ヒップホップとかブラックミュージックっていわれるようなものが、どんどん音が硬くなっていったところから始まりつつの、そういうムードになってるっていうか。
🔶流行なんじゃないですかね。
💜そうですね。441がどうとかチューニングだなんだとかで。ラジオであったり、最近はパソコンであったり、っていう色々な機器が増えていて、良質な音で必ずしも聞けるわけじゃないので。音が圧縮、データが変換されて圧縮されるっていうのもあるんですけども。圧縮されててて、結局、ムードをあんなにしてとったのに、「あれ?ムードなくなっちゃったな〜」みたいなってことになっちゃうんで、「何キロヘルツぐらいあげて下さい」とかを、細かく指示はしていながら、一応ムードを残すように、「せーの!感」が残ってるように。みんなで「じゃあやろうか」って言って頭から「ワン、ツー」って始めた、そのすべての状況が残るように、ここの周波数だけ守ってほしいとか、そういう風なことをちょっと言いながらマスタリングもお願いしてるっていう感じです。
🔷マスタリングは立ち会うんですか。
💜あ、もう立ち会わないです。もう言う事は言って、後はお任せ。立ち会い始めるとキリがない、っていうこともわかってるので、その辺は気にしないよみたいな感じに自分を仕向けて。で、あとは任せて、よっぽど違うなの時じゃないと「ごめんなさい。もうちょっとやり直して」は言わないですけど。意外とその人の解釈でアリになった部分とかも、稼げたりもしますし。
💜レコードなんか聞くと、よりわかりますけどね。CDでは鳴ってないような音がやっぱりレコードでは拾えているし。パソコンで聴くよりもヘッドホンにすれば、あるいはヘッドホンを変えれば、聞こえてなかった音が聞こえてきたりするっていう。
💜そういうことを、本当は、ユーザーさんが理解できるように、作り手は、そういう消えてしまう音も含めてなるべく守れるように。今の時代に争いを仕掛けるわけではなくて、順応する中で、していかないと、やっぱり「ファンク好き」とか「ロックが好き」とか、みんながいろいろなものを「好き」って、本当に心を震わせながら思える、そういう状況を与えることが本当に少なくなりそうな気がしたんで、まぁ「ジャニーズのアイツが」とか言われる僕ですけど、やっぱりなんかそのそういう部分っていうものをも含めて守っていけたらな〜なんてことを、みんなで話し合いながら、あーだこーだやってますね。
🔷テープでレコーディングした曲も何曲があるとか。
💜ありますね、テープも、テープを通すことで、ちょっと音域の出る箇所も変わりますし、丸くなったりとかもしますしね。最初に現代的な機材でハイエンドっていうか高いところ上げといて、テープをスルーすることでいい具合になったりとかっていう。そういうふうにして、機材も結構遊びながらやってますね。
🔷昔の70年代の機材とかグッズみたいなの、けっこうスタジオに入れ込んでるんですか。
💜エンジニアさんが、それこそ、ソウル・ファンク大好きっていう人とかが周りにいるので、そういう人たちが持ってくる機材がやっぱり、そっち寄りの「キテるね〜!」みたいな。
🔷かなり古いアナログみたいな。
💜「持ってきましたね〜」っていうようなのとかを、ボーカルに使ってみたりとかっていう。そういうのでいろいろと帳尻を合わせて。ただ、古い音を作っても仕方がないっていうのも、どっかにあるので、古いムードはあるんですけど、でも今の音楽だっていうのは、最終的に落とし込めるように、それもまたバランスを。
🔶要は今またネオソウルの人たちがやってるような、ヴィンテージ感とか。
💜はい。そういうものを意識してないと、結局「昔のことをやってる」っていう状況も、もったいないなぁっていうか。やっぱり、アップデート、昔の古き良きものをアップデートしていく、それが音楽にあってもいいんじゃないかな、とか。
💜どうしても、奈良人だからなのか、しらないですけど。街歩いたら世界遺産だらけですしね。1300年前の話をしている人たちと、今の話をしている人たちとが混在しているエリアなんで。僕は、奈良=ファンクだと思ってます。あんなファンクな場所ないと思いますけど。
🔷一度奈良行かなきゃ。
💜中心部に行っていただいて、そのあとに、和歌山とか、境目ぐらいに近いところとか行っていただくと、ほんとに神話とともに…
🔶わかります。私も奈良は何度か行ったことあるので。
💜面白いのが、神話と共に生きているんですけど、すごく普通の人が神話と生きているので、いわゆる、皆さんの言う「ちょっと偏った世界」ではないんですよね。これがまた気持ちよくて。「生まれた時から、この山が神さんっておばあちゃんから聞いてるから、お世話してます」みたいな。すごい普通にスマホいじりながらやられたりすると、なんかもそういう感じなんですよね。
🔶SILKY藤野さん。ブラザートムさんと一緒にREAL BLOODっていうボーカルグループを。すごいファルセットの。多分日本屈指のファルセッター。
🔷でも奈良から出てこないんだよね。
💜もう出なくていいと思いますよ。ほんとに。僕も訳あって出てきましたけど。
🔶訳あって、故あって、みたいな。
💜でも、出てきたことによってファンクミュージックに出会えたっていうのは、とても大きいことだなと思ってますので。
🔷奈良にもしいたままだったら、スライに出会わなかったでしょうし。
💜出会わなかったでしょうし。でも、ぼく、スライを経ての、まぁ僕の老後ですよね。まぁ音楽もやってたいんですけど、スライっぽくなんかこう壺作ってみたいな〜みたいな。
🔶隠遁生活、みたいな?
🔷スライが壺作るみたいな生活をしてみたい?
💜スライが壺作ったら、たぶんこんな感じじゃないかな、みたいな。
🔷どんな感じ?
🔶ちょっと今想像した。
💜ムービーでもありましたけど、スライが乗ってるトライクのバイクとかが、キャンピングカーの感じとか、その時のスライのファッションとかもそうなんですけど、「スライっぽいなぁ」ってあるじゃないですか。あれの「壺版」みたいな。
🔷あーそうか。なるほどね
💜スライが好き・ファンクが好きっていう人間なだけなんで。でもこれだけ人生の中で好きって思える人に出会えたことが「幸せやなぁ」って思いますし。僕はやっぱり好きと言っていただいたり応援していただいたりする立場のお仕事してるので、こっちが誰かを好きになったり、我を忘れるくらいテンション上がるような人って存在しないまま来てたので。
🔷じゃぁもうスライが堂本さんにとっては初のヒーローであり、憧れの存在になったんだ。
💜ヒーロー・憧れですね。なんかもうほんとに例えばスライが日本に来て「寿司食べたい」って言ったら奢ってあげたいな、っていう。なんかもうほんとに、前からチョー友達やったよね〜くらいの感じで、スライとプラプラしたいなぁ〜とか思うくらい、好きな・偉大な人っていうか。すごいバランス変なんですけど、緊張してるだけっていうよりかは、なんかそれぐらいの感覚をくれる人なんで。こんな人と出会えて幸せだな〜って。この人に導いてくれた…
🔶これたぶん、いつか現実化しますよ。
💜しますかね?
🔷たぶん会えるんじゃないかな?
🔶ということで、堂本さん、2曲目もSly & The Family Stone。
💜はい、そうでございます。
🔷このスライのベーシストが、チョッパーベースで知られるラリー・グラハムで。
🔶スラップ奏法ですね。
🔷堂本さんのENDLICHERI☆ENDLICHERI名義でリリースされたアルバムの中に、そのグラハム先輩がベースと声で参加してるんですよね?【㊟ アルバム「Neo Africa Rainbow Ax」収録の『ENDLICHERI☆ENDLICHERI 2』】
💜参加していただいたんですよ。それも、ミュージシャンの方のいろいろな流れがあって、「オファーしてみましょうか」って言う話になって「してくださ〜い」って言って。そしたら実現して。
🔷こっちから曲のこれに入れてくださいっていうテープを送って?
💜お送りして。で、あとは「好きにどうぞ先輩お願いします」っていうことで。そこで思ったのは、エフェクターを踏んでいないグラハム先輩のいわゆるソロチャンネルを聞きますと、タイムがちょっとズレて聞こえるんですよ。
🔷それはうしろにずれてる感じ?
🔶うしろでしょうね。
💜うしろ。ただ、グラハム先輩の「うしろ」っていう、僕が認識してた「うしろ」よりも、さらに「うしろ」なんです。
🔷じゃぁ、かなりうしろ。
💜「あれ?」っと思って。でも、それで、エフェクター踏んだときの先輩のチャンネルをまた聴きますと、かなりうしろで、正解なんですよ。
🔶計算してるんだ!
💜「チョー計算してんな、この人やっぱ」って思って。「いやーもうヤバいなぁ」なんて思いながら、その日はもうグラハム・セントラル・ステーションをずっと聴いて。
🔷じゃぁグラハム三昧だったわけだ。
💜グラハム三昧して。そんな思い出もあったりしますね。
🔷でも残念なことに、本人にはまだ会ってない。
💜お会いしてないです。データのやり取りで。
🔷じゃあ絶対会うしかないですよね、次来た時。
🔶スライとグラハム先輩のお二人と一緒にセッション。会うってことじゃないよね、セッションするっていうことですよね。
🔷でも、スライとラリーは仲悪いからダメ。
💜そこなんですよ。でも、そこを中和剤になれば、と。日本のどいつかわからん奴が、「どうも〜」って言って、「2人のことがチョー好きなんですよ〜」って言って、「大好き〜!ワン、ツー、スリー、フォー!」で多分始まるんじゃないかと。
🔷そうしたらもうファンクの歴史に名を残しますよ。
🔶すごいことを成し遂げたジャパニーズがいる!みたいな。
💜なりますかね。
🔷もし本当にそれが実現したら。スライは、とにかくラリー・グラハムが大嫌いで、ラリーはスライを恐れてて、とにかく一緒の空気は吸えない、いう状況なんですよね。
🔶犬猿の仲、みたいな。
💜でも、もう時を経て、そろそろ、きっかけがないだけで、お互いそんなに思ってないっていうね。中和剤がうまく機能できれば。
🔷そうなったらほんとにファンクの歴史に燦然と輝く1ページになると思います。
💜2人で鳴らしてるアルバムとかバーンと出たらヤバいですね。
🔷🔶それヤバいですよ。
💜今もうシンシアもいなくなって。【㊟ シンシア・ロビンソン。Cynthia Robinson。Sly & The Family Stone のオリジナルメンバー】
🔶そう、私ショックで。
💜シンシアもショックでしたね。シンシアがライブで来てた時に、「わ〜シンシアやー」と思って。シンシアのプレイ聞くのも「チョー気持ちいいな〜」と思いながら。でも、印象に残ってたのは、シンシアが毎回ステージに上がってくるたびに、自分のカバンを持ってきて。やっぱ向こうだと盗難とか多いんだろうなとか。いろいろあるんだろうなっていう。自分のものは自分で守る、みたいな。
🔶あれは印象的。びっくりしました。
💜だって日本でステージに上がるときに、僕が私物のカバン持って入ってきたら、ビックリしますよね。でもなんかそういう細部を見ることで、より何かいろんなことが見えて、この人たちはこういう状況で日本に来てくれてるんだなぁとか、そういうところをいろいろ見れるっていうのも、ライブの醍醐味だなぁと。
💜で、そのラリー・グラハムのベースラインが超最高ということでございまして、Sly & The Family Stoneの「If You Want Me To Stay」。もうこのベースライン、僕もライブのリハの時とかによく弾いたりとかします。このリフがすごい気持ちいいし、これ弾いてるとみんながツートッツッカツッカみたいな。みんなファーファーファーってみんな入ってくるんですよね こっちはただ好きで、トゥットゥトゥットゥって弾いてるだけなんですけど。
🔷あ、ベースも弾くんですか?
💜ベースも弾きます。それでみんながバンって入ってきて。なんかすごい気持ちいい空気があって。「延々これできちゃうな〜」っていう。「危ない!」っていう。
♩If You Want Me To Stay / Sly & The Family Stone
🔷このベースね。
💜このベースヤバいし、最初のボーカルの入り方がヤバいですよね。喉でちょっと歌ってる感じの。「なんなん?」って。もうほんとにこの関西弁で言う「なんなん?」っていうのが、スライなんですよね。
🔷「なんなん?」がスライなんだ。なるほど。
💜脳みその中では理解できないものが鳴ってるんです。脳みその外でインプットしてかないと、全くわからないっていうか。
🔶意識が違うところに解き放たれて。要するに私いつも思うのは、ファンクっていうのは「魂の解放」だし。もうほんとに「Free Your Mind... and Your Ass Will Follow」っていうアレだと思うんですよ。だからやっぱり私もファンクに出会ってめり込んだ時っていうのは、その当時は1日中グルーヴ漬けですよ。グルーヴ・サーチャーになってました。
💜気持ちいいですよね。
🔶でも結局何十年たっても変わらないですもん。
💜ね。だって本当に僕も、今後「もうファンク・ミュージックにちょっと飽きたな」とか絶対言わないし、「スライ飽きたな」とかも絶対言わないだろうなっていうのが今からわかってるっていう感じですね。
🔶そういう意味では、パーラメントもP-FUNKも、堂本さんにとってはやっぱりきっと生涯ずっと好きだろうな、みたいな。
💜そうですね。ジョージ・クリントンは、やっぱり「宇宙からやってきた」とも言ってますし。サン・ラーとかも言ってましたけど。「今、不時着してる」って言ってましたけど。「嘘やろ?」と思いながら。「不時着してるんや」みたいな。ちょっとその感じも面白いんですけど。
🔶ファンクのない可哀想な惑星に、ファンクを教えにやって来たぞ、みたいな。
💜その感じがもう既に好きなんですよ。
🔷アメリカン・コミック的なね。
🔶ファンク・オペラ。
💜それで「我々は宇宙に帰っていくんだ」みたいな。PーFUNKのPは「ピュア」なんだってジョージ・クリントンも言ってましたけれども。このパーラメントから、そしてファンカデリックへ、っていう、パーラメントの中では、ちょっとなかなか受け辛かったよね〜のところを、ちょっとロック寄りにしてファンカデリックになってゆく、みたいな。その前ですよね、だから。ジョージ・クリントンがほんとにP-FUNKイエーイって言ってるところのムード感がすごいし、あのUFOから降りてくる演出とか、
🔶マザーシップ。
💜ああいうのもすごく気持ちいいな、なんてふうに思いながら。で、このジョージ・クリントンのいわゆる言ってるその「宇宙」ていうか「SPACE」。宇宙の話が結構出てくるじゃないですか、ワードとして。
🔶もうかなり哲学的ですよね。
💜哲学的な。これは、小難しく言うと、量子力学じゃないですけど、ちょっと細かい話してくと、そこに通ずるんじゃないかと僕は思ったり。輪廻転生とか色々言葉がありますけれども、量子力学の話じゃないかな〜彼が言ってるのは、みたいな。
💜で、それで、僕は地元奈良なので、いろいろ奈良の勉強をしますと、やっぱり仏教のお経もそうですし、神道の祝詞もそうなんですけど、宇宙・大宇宙・小宇宙っていう言葉がもう入ってるので、宇宙とのコネクションをしながら、昔の人々は神の声を聞き、仏の声を聞きというような、あるいは自分の秘めたる心の声を聞いたり、魂を解放して、神様に捧げる・神に向き合う、っていうこのシステムがですね、P-FUNKなだ、と僕は思って。
🔷まさにそうですね。
🔶そうだと思います。
💜なので奈良人の僕は、やっぱり奈良はファンクな気がするのと、P-FUNKのこのジョージ・クリントンの話っていうのも、なんかちょっと無視できない話になっちゃいます。
🔷すごいシンパシーがあるわけだ。
🔶リンクしますよね。
🔷ってことは、じゃあ堂本さん、「奈良ファンク」っていうの作ればいいんじゃないですか。
💜もうね、「奈良ファンク」と題して、いろいろやってるシーンもあったんですけど。
🔷『NARA』って曲もありますもんね。【アルバム「Neo Africa Rainbow Ax」】
💜いろいろあるんですけれどもね、やっぱりこれね、「奈良ファンク」を、僕はやりたいようなんですよ。で、「奈良ファンク」っていうものをちょっとこう変換して、「シャーマニッポン」(shamanippon)みたいな言葉に変えたんだと思うんですけど。
🔷あーなるほど。それがそうなってるわけ?なるほど。
🔶ジョージ・クリントンが、あのものすごい個性バリバリな、エディ・ヘイゼルだマイケル・ハンプトンだゲイリー・シャイダーといった、ものすごいミュージシャン集団を、采配で1つにまとめてっていう、あのシャーマン的な役割みたいなところからしても、「シャーマン・ニッポン」になってくるわけですね。
💜僕の今のバンドが、もうほんとに、そうですね〜ジョージ・クリントンとかファンカデリックとかパーラメントとかの時のような、濃い〜人しかいないんで。
🔷確かにメンバー見るとそうですね。
💜「よくこれまとめてますね」って言われますけど、まとめているつもりはないんですよ。みんなが楽しくキャッキャやってる真ん中に居させてもらって…
🔶それもうジョージ(クリントン)じゃないですか!
🔷ジョージ役だね、まさに。
💜ちょっと自分が疲れたら、みんなに前出てもらって、ちょっと休憩してる、みたいなそんな感じなんですけど。
🔷まさにジョージクリントン。
💜ジョージ・クリントンの、何かそういう宇宙との話みたいなのが、意外とこれ、自分の故郷にあるんじゃないか、みたいな。これはやっぱり僕はロックとかそういうものを中心に音楽を作るのではなく、やっぱり「ファンク」「グルーヴ」「生きる」そして「人は必ず消えていく」これをやっぱり音楽にしなければいけないんじゃないか、奈良人なんだから、というところで。
💜で、intuition「直感力」で、音を鳴らしていく・人を惹きつけていく・人を集める。そして、その人と、直感力でオーディエンスの前で音を鳴らす。直感力で鳴らしてるから、オーディエンスは脳みその中では理解できなくて、魂を解放しなければ理解できない音楽をやろう、みたいな。
🔷へー素晴らしいですね。
💜なんかそういう流れがありまして。で、いまだにP-FUNKやっぱ聴いてますね。ずーっと。
🔶素晴らしい。
🔷奈良ファンク。N-FUNKですね。P-FUNKじゃなくて。
💜今は、皆さんが僕のことを最近、「剛」なんで、みんなが「TU」(トゥ)って呼び始めたんです。みんなが「TU-FUNK」って言い出しまして、でバンド名っていうか、バンドのみなさんは「TU FUNK ALL STARS」になってるんです。っていう感じで、なんか勝手にそうなっていってて。自分がどうこう決めたわけじゃないんですけど。
💜みんなが決めたルールっていうんですかね、みんなが決めた言語って、今の時代、とても大事だと思うんです。いわゆる世の中に並んでいる・羅列してる文字と、羅列してる感情じゃないもので、何か1つのことを始めるというのが、とても大事なことだと思うんですよね。これは、暴動を起こせということではなくて、いわゆる自分の意思を、自分たちの愛を鳴らすという意味で、意味が通じなくても、でも自分たちにはとてもラブな言葉なんだという、それを、なんか作るのって大事で。でも、ただ、それを作るのは、難しいんですよね。無い言葉だったり、無い言葉と有る言葉を混ぜたりして。
💜でも、何か現場で話していて自然とふっと出た、リフと一緒ですよね。「なに今のリフ。ヤバいやん、カッコイイやん」っていうのと一緒で、なんかそんな感じで、みんなが勝手に遊び始めてるっていうのが、見ててまた楽しいので。皆さんは今このTU FUNK ALL STARSってみんな言いながら、遊んでくれてて。
🔷いいですね。TU FUNK ALL STARS。「つよし」の「TU」。
🔶サイコー!「ありがTU」
💜フランス行ったりいろいろしても、「My name is Tsuyoshi」って言っても「ちゅよし?」って言われるんですよ。「つ」ってなかなか言ってもらえなくて。だからもうTU。TOOのトゥーの発音も海外にはありますし。
🔶TOOね。あまりにも、ってやつね。過剰なFUNK。いいね。Overdose of Funk。
💜そういうのとかもいろいろ考えたりとかして。でまぁエディ・ヘイゼルは、誕生日が一緒だったりするんですよ。4月10日で。アッコさんとも同じです。さだまさしさんとも同じなんです。
🔶わーすごいなぁ!
💜さださんとエディ・ヘイゼル並んでるって、すごいですよね。
🔶ある意味すごい。
💜「誕生日一緒なのか〜」って。土屋公平さんのギターと、あとエディ・ヘイゼルのギターが、好きなんです。最初はエディ・ヘイゼルを知らずにP-FUNK聞いて、
「何、ヤバい、このギターなんなん?」と思って調べたら、エディ・ヘイゼルで。
🔷P-FUNKは他にもギタリストがいるけれども、エディ・ヘイゼル。
💜エディ・ヘイゼルの、いわゆるあの「ちょっとズレちゃったりとかしてるけれども」の、魂の解放ですか、「俺、生ききるぞ」のあの感じと、あと、エフェクターの選び具合とかが、嫌いじゃない。
🔶若い頃の彼らのステージもすごかったですよ。
💜映像とか見ますけれど。
🔶ダイブとかね。いきなり「え〜ここでですか?」みたいなことになるので。終わらないしね。
💜終わらないっていうのがいいですよね。
🔶日本も、昔は結構彼らのライブとかで、終わり時間とか言っても無駄な状態で。
🔷3時間以上やってたからね。
🔶1番長かった時5時間位ありましたよね。川崎でやった時はもう。一晩中になって。もうオーディエンスがバテて、みんなそこら中に倒れてるんだけど。
💜いいですね。オーディエンスが倒れててもやってるのいいですね。それくらいじゃないとね、だめだと思います。オーディエンスが、本当の超ファンのオーディエンスが、飽きてるって、ヤバくないですか?1番ヤバいファンクの瞬間だと思うんです。こっちはもうすごい「そろそろ帰りたいな」と思ってる位なのに、まだ超ハッピーにやってるみたいな。この真逆感がすごいファンクだなと思ってて。
💜1回面白かったのは、それこそ川崎に行った時にですね、ブーツィーの。前座でベースのKenKenがやってて。
🔷KenKenっていうのは、堂本さんのベースをやっていたり、日本のミュージシャンの中で、もうトップクラスのベース奏者ですよね。金子マリさんのジュニアで。
💜マリさんもライブ見に来て下さいました。とてもうれしかったです。で、KenKenもスライ・チルドレンていうか、RIZEとかDragon Ashやってるんですけど、超ファンク好きで、超スライ好きで、スライ・マニアなんですよね、彼も。彼とスライの話してたらまぁ止まらないんですけど、彼が出てるってこともあって、「じゃあ行く行く」って言って行って。で、ブーツィー見てたんですけど。超ファンクだった瞬間が。もちろんエフェクター踏んでベースじゃなくなっていく瞬間もすごかったんですけど、
🔷なんかギターみたいなもんだよね。
💜そこも「イェーイ!」だったんですけど、その後に、ライブハウスの係の人がステージに出てきて、マイクで、「今からブーツィーが皆さんのところに練り歩きます」と。「なので、叩いたり強く掴んだりするのやめてください」ってアナウンスを、横でブーツィーが聞いてて、そのあとブーツィーが降りていくっていう、その瞬間が、すごいファンクだったんですよね。
💜「なんなん?これ」みたいな。そんな説明もなくブァー行くっていうイメージあったんですけど、一回音がパンって止んで、ブーツィーもニコニコ笑って立ってる横で、「今から歩くんで、みんな触ったり叩いたりしないでください。それではどうぞ」って言って、ブーツィーが降りていくっていう、この流れの感じが、「何を見せられてんのやろ?」っていう。ちょっと面白いな〜とか。そういうものも見られるっていうのが、非常に面白かったです。
💜その後、バーニーとかとも会ったりとかしたときに、ちょうどその時もKenKenが一緒で。ただ僕が、ネット上で、「髪の長い背の高い女と歩いてる」ってツイートされて。
🔷それKenKenなの?
🔶おもしろすぎるー。
💜家族から心配の電話がかかってきて「あんたなんか今、女の子と歩いてんの?」って。「気ぃつけや、あんた、ネットに上がってんで」って。みたいなこと言われて。「いや俺、全然歩いてないけど」って。「どういう感じ?」って聞いたら「髪の長い背の高い女の子と歩いてる」「あ、KenKenじゃない?」って話になって。KenKenだったんですけど。
🔶それもファンキーだわ。
🔷ファンキーだね。
💜ファンクの人に会いに行って、そういうことが起こったりするとかも、面白い人生だなぁって思って。
🔶Funkyモーメントだね。すばらしい。
💜ですね。ほんとにいろいろね、このファンクっていうものを通して、自分の生活も、何かそういうグルーヴに入っていくのも面白いなぁなんて思っておりますけど。
🔶と言うことで、ここで、パーラメントの、堂本さんのセレクションで。
💜もうこのイントロを聞くとフー!」ってなっちゃうんです。じゃあこちら聞いていただきましょう。パーラメントでフラッシュライト、どうぞ。
💜ヤバいですね。
🔶ということで、まだまだ堂本さんにはお聞きしたいことがありまくりなんですが、残念ながらもう…
🔷話が尽きないですよね。
🔶ほんともう終わらない。
💜やーもう今日はねー、僕の中でも、ファンの方々だったり、ミュージシャン仲間だったり、いろんな人に、僕が「ファンク好きなんだ」の理由を、改めてもう一度丁寧にしゃべれたかなぁ〜という。だってあの、こんなにね、楽しそうに喋ってる声が、マイクに乗ってるだけで、もう充分伝わってると思うんでね。「好きなんですね」っていうのが。
🔶これたぶん、この番組のレギュラー番組でやってる方のリスナーさんっていうのは、ものすごいマニアックに、ひたすらソウルとファンクを愛してるみたいな、そういうリスナーさんがたくさんいらっしゃるんですけど、きっと多分、そういうリスナーさんにも、堂本さんがいかにリアルなファンカーなのかということが絶対に伝わって。またぜひ来ていただきたいです。遊びに来ていただきたいっていう、それしかない。
💜それは、呼んでいただけたらもう。ほんとに。
🔶絶対これ、次を、第2回3回と、続けていかなければ。
💜全然うれしいです、それ。めちゃめちゃうれしいです。
🔷ファンク三昧 part2。
💜やりましょう、やりましょうよ、ほんとに。
🔶でもステージもね、やってほしい。TU FUNK ALL STARSで。
💜これほんとにね、ファンク・ソウルにどっぷりハマった世代の人たちに、ほんと僕のライブを見てもらいたいんですよ。ほんとに。
🔶私も吉岡さんもまだ未体験なんですから。
🔷次は必ず行きます。
💜ぜひ。僕の中で、やっぱり、今のこの立場とかね、環境。皆さんの言う「どファンク」みたいなものを書くことが、なかなか難しいんですよね。環境という意味で。例えば気に聞きに来てくださっている方とか、いろんな方が、「何やってんのこれ?」ってリアクションを与えてしまう、そういう「どファンク」をやっちゃうと、アウトじゃないですか。だから、日本語でなるべく書きつつの、造語も含めて、響きが良さそうなものを選んでとか、ファンクっていうものを根底に置きながら作ってるファンクなんですよ。
🔶要するに、オーディエンスを置き去りにしないってことですよね。ちゃんと連れて行くぞ、と。
💜はい。だんだんだんだんゆっくり時間をかけて、ファンクに連れて行くっていうか、そういうことが、まず僕の中で、詩を書くときとか、メロディーラインを選ぶ時に、重要なことにちょっとなってるんですけど。
🔶言葉のセンスいいですもんね。面白い。
💜あとはもう、ほんとに、グルーヴが大事なんで。グループがファンクしてれば、自分がファンクだと思って鳴らせばそれはファンクなんだ、っていう定義を信じて、今やってる。ここから3年後とか4年後とかはほんとに、どんどんどんどん、そっちの、皆さんが「どファンク」と呼ぶようなものに行けるかなぁっていうか。今も曲いろいろ作ったりしてますけれど、そういうのも、なかなかのファンク寄りに、どんどんなっていってますし。
💜年齢とともにというか、年齢とともに、僕の環境とかイメージも含めて変わっていくと思うんで、それが「どファンク」とぴったりパーンと合う時に、「おーキター!」ってやつを将来的にもっと作っていけたらなぁ、みたいな。
🔶ということで、もうほんとにね、名残惜しいんですが、ここで最後にもう1曲、今度は堂本剛さんの1曲をお聞かせいただきたいと思います。
💜いいですか。こちら、「ロイノチノイ」というアルバムを出しまして。
🔶これ、「命の色」って。右から読むのね。
💜右から読むと「命の色」というですね、ちょっと奈良人というのもあって、昔の古語とか歴史とか、昔の人々のフレーバーみたいなものを、ちょっとずつエッセンスとして歌詩に込めたり、タイトルに込めたり。「戻ることが未来」というキャッチコピーも自分の概念の中にありまして。なんかそういうものも含めて、こういうタイトルをつけつつ、その中から「Clap Your Mind」という、自分のビートを、ハートのビートをキープしていけっていう。何か自分の信念みたいなものですね。それをずっとキープして鳴らし続けていけ、っていう、そういう風な思いで作った、ブラスバリバリの曲がありますんで。
🔷ちなみにこの「ロイノチノイ」って逆に読むのは、プリンスとかスライ・ストーンも、その逆アナグラムっていうのよく使ってるんですよね。
💜あ、そうなんですね。
🔷だから僕は最初それかと思ったんですけど。プリンスは自分のパブリッシャーの名前を、ecnirp かな。プリンス(Prince)の綴りを逆にしたものとか。スライの曲名なんかでも、逆から読むとちゃんと英語になってるみたいな。逆ワードが、結構、プリンスとかスライはそういうの好きなんですよ。
💜あるんですね。偶然の産物でしたね。僕が生まれた頃はもう左から文字を読んでましたけど、でも、昔は右から読んでたじゃないですか。
🔶子供の頃まだそういう看板ありました。
🔷歳がバレる。
💜だから、なんかその、大したことない話なんですけど、こういうことがあること、たった今、自分がどんな時代を生きているか、この時代の怖い・恐ろしいところと良いところというのを、何か勘の鋭い人は考えてくれるなと思って、こういうものをちょっとタイトルに持ってきたりとかしてるんです。
🔷いいですね。文字を逆にやるなんていう、そのところが、もうプリンスとかスライスと一緒じゃないですか、堂本さん。
🔶偶然ですもんね。
🔷どっかにあるんですよね、きっと。話が尽きなくて名残惜しいなぁ。
🔶ほんと、素晴らしい時間だ。
💜だからこの、今日ちょっと楽しいなと思ったグルーヴを、持続させて、ぜひまた次の機会に。
🔶ぜひ!
💜ほんとに呼んでいただいたら来ますので。
🔶TU FUNK ALL STARSのステージをやっていただきましょう。
💜はい、やりますやります。ほんとにPart2、Part3と。
🔶逆にストレス解消にも?
💜なりますね。ほんとに。
🔷(大爆笑)
💜いや〜もうほんと、今日救われました。ありがとうございました。
🔶こちらもです。
🔷いやいやそんな言葉、言っていただいて。本当にありがとうございました。
🔷いや〜堂本さんも好きなんですね〜もう。
🔶好きだったのね!みたいな。
🔷あんなにファンク好きとはね。「グラハム先輩」!
🔶楽しかったな〜なんかいいグルーヴ。
🔷「奈良ファンク」「スライに寿司おごってあげたい」
🔶すごくね、いいグルーヴを持った人、まとった人。いい時間だったね。良い時間でした。ほんとに。
🔷「ファンクとは仲間を鳴らすこと」。いやもう名言続出ですね。ほんとにね。堂本さんもうファンカティアですね。正真正銘の。ありがとうございました。
🔶ありがとうございました。