堂本剛、心呼吸。
ふるさと奈良を歩く
 
2008.4.12
制作著作:TVN 奈良テレビ放送

ナレーション/剛さん/テロップと補足


彼は、ここ奈良で生まれた。
堂本剛、29歳。アーティスト。東京を拠点に、生きること、そして愛をテーマに、活動している。

 

映像「不完全FUNKY WHITE DRAGON 」♩Blue Berry

映像「胸宇宙」


14歳で、奈良を離れ東京へ。3年前、ENDLICHERI☆ENDLICHERIプロジェクトを始動させた。ひとりのアーティストとして、メッセージを発信したかった。ありのままの自分で、世の中と向き合いたい。自分自身を見つめるうちに、ふるさとで過ごした時間が、かけがえのないものであることに、気づいた。

ほんとに、奈良で育って、まぁ僕として育ってきただけの、僕、というか。いろんな経験とかはさておき、みたいな自分が、すごくこう前に出てきて、許容範囲を占め始めているというか、なんかそういうタイミングみたいですね。

 

タイトル:堂本剛  心呼吸 ふるさと奈良を歩く

東京から京都へ、京都から奈良へ。子供の頃から慣れ親しんだ電車で、里帰り。


まーいつ帰ってきてもあれですねぇ、あの、ただ広い、という。ここも愛おしいですけど。なんかこの、"進みすぎず"がいいですね、やっぱりね。

 

(車窓から外の建物を指して)ここはもうもちろん覚えてるけど。ここのマンションに住んでる、背の高い女の子がいて、友達が、その子がすごい好きだと。どうしたらいいかわからないと。じゃ、ラブレター書いたらえぇやんけって言って。で、ラブレターを書いて、ひとりで行くのはこわいから一緒に来てほしいっていうことで。あのマンションの、その彼女のポストにラブレターを一緒に入れて。えぇ、そんなんしたりとかねぇ。1個1個やっぱ、まぁあたりまえですけど、いろんなとこに思い出も、ちゃんとあって。

 

京都から奈良まで、およそ30分。大和西大寺駅で下車し、平城宮跡へ。


ここでも、アルバムの写真撮ったんですけど、よくここで、いろんな写真撮ってますねぇ。すごく好きで。ここはとにかく、全部空でしょ。それが好きなんですよ。空すごい好きで、こういう"全部空"みたいなところが、唯一、近所にここがあって。で、夕暮れと、朝に、ピンクになる一瞬があるんですよ、空が。それをね、見れたときが幸せなんですよね。うん。

 

若草山ね。山焼き。山燃えててね、おぉ燃えてる燃えてる、っていう。みんなのんーびり。のんびりしてんなぁ、みんな。野球やったりして。でも今日、なんか人多くないすか?みんなバドミントンしたり、野球したり。えぇなぁーやっぱりさぁーこういうのんびりしたとこ。でも大きい敷地ですね。

♩「春涙」

平城宮跡:奈良時代、ここに皇居や官庁が置かれていた。平城遷都1300年にあたる2010年に向け、大極殿正殿の復元工事が進められている(工事中の内部へ)


すごい、これは…。すごいなぁ、ほんま。ここで歌いたいっすねえぇ~。
スタッフ:ここでPV撮りましょうよ。
撮りましょか?ねぇ。

今ちらっと聞いたら、瓦が約10万枚、使われてるということですよ。これは、今、上にいますけど、下が1階で、この角度ではもう見れないですよね、屋根の部分は。今度は下から見ることになるでしょうね。すごいなぁ。へぇ〜すご〜い、ほんまにすごいわ。

西大寺

西大寺。奈良に帰った折に、ふらっと立ち寄ることが多い。

西暦765年、奈良時代にひらかれた西大寺。かつては100余りのお堂が建つ、大寺院だった。そんな寺の由緒を、物心つく前から聞いていた。実は、境内の一角にある幼稚園に、通っていた。

ここを、"寒風マラソン"で(笑)あの、寒風マラソンてなんなんすかね、体に悪いですよね、あれ。乾布摩擦とかね。あの、すごいタオルでこするだけっていう(笑)。あの、「本堂」って字、逆にすると堂本になるんですよね。まあ当たり前のことなんですけどね。あれがいつもね、ドキっとするんですよ。あの「何々本堂」みたいな。ま「本堂」なんですけど。僕からしたら馴染みのある文字が二個ありますからね。「堂本受付」ですからね。「堂本拝観」、堂本の拝観を受付しますから。

 

桜。ん〜なんか、歴史が。歴史があるね。

♩「ソメイヨシノ」MV

「ソメイヨシノ」は、ENDLICHERI☆ENDLICHERIプロジェクトを立ち上げたとき、最初にリリースしたシングル。


東京で、桜を、母と春に一緒に見に行くんですけど、で、「あんたと、この桜あと何回見れるやろか」って、ぽそーっと言うたんですね。で、僕もちょっと言葉をなくしながら、その、母が立っていて、その奥に桜が咲いていて、もう見事に綺麗なピンクで咲いてましたけど。その桜の花びらがですね、風に舞って地面に墜落していくっていう、そういう、景色をなんかこう、目に自然と焼きつけて。

 

僕が、ENDLICHERIというプロジェクトを立ち上げるときに、そのタイミングでほんとに、生きていくということとか、自分が生まれた意味とか、自分が生まれた場所とか、なんかいろんなことがほんとに、自然とわきあがってきて。もっと他の曲も書けたんですけど、奈良をテーマにして、自分というものをテーマにして、自分が生きていくということをテーマにして、逃げずに何かを書きたい、って、なんかそんなふうに思って、奈良をほんとに想像して、イメージして、で、その母の背中を思い出し、その胸中を、自分なりに、こういうふうに思ったりしてるのかな、なんて思いながら作った歌で。

東大寺 南大門

大きいなー。これを、今の技術とかを使わずして建てるって、すごいことやからなぁ〜やっぱり。こういう、人の思いが。これ(柱)もでかいでー。

あそこの池におる、亀がね。麩あるでしょ、麩を、ちょっといじわるして、高めのところにセッティングすると、首めっちゃ伸ばして、すごい貪欲にくるんすよ。今おらへんか。それがね、すごいのよ。

 

西暦752年に建てられた東大寺。奈良の大仏として知られる本尊・毘盧舎那仏。大仏殿は世界最大級の木造建築。

空がやっぱ広いでしょ?そこがやっぱすごい好きですね。建物の高さの、制限っていうかね、ちゃんとされてるのもあるでしょうけど。こういうお寺さんの近くに来ると、より空は広くなるし、今自分が働いているエリアでは、なかなか得られない広さの空を、手に入れることができるから。

できることなら、奈良から東京に通って、仕事をしたい。奈良が好きだ。そんな思いは、新しいアルバムのジャケットにもあふれている。大仏の掌のレプリカとミラーボール。奈良公園で鹿とフォトセッション。

♩「朽ち果て」

そんなアルバムのタイトルは、「I AND 愛」。「私」の"I"と、「LOVE」の"愛"。最近ますます、自分について、愛について、考えることが大切だと感じている。ありのままの自分で生きることが大切だと、感じている。

僕を、堂本剛って人を、ほんとに応援してくれる人とか、愛してくれる人、CD買ってくらはる人、人生の一部の時間を僕に費やしてくれる人に対して、やっぱり、リアルでいたい。昔はほんとに、求めていただいた自分、こういうふうにしてくださいと、言われれば、やりましたけど、やっぱり愛する人、愛してくれる人の前で、うそぶいた自分はやっぱちょっとやだっていうのが、すごく、子供的な発想に聞こえますけど、ちょっと強くなっちゃったんですね。フェイクじゃなくて「リアルな自分」が考える、表現・アートってなってくると、やっぱり、自分の生まれた場所がポイントになってきたり。ほんとに、奈良で育って、この奈良で培った、言葉含めてね、感覚含めて、やっぱりすごく、ずーっと大切にして、生きてきた感じですね。

興福寺

春日大社

元興寺

ならまち

 

奈良は、世界遺産のまち。興福寺の南側に、落ち着いた佇まいの町並みが広がる。細い路地が入り組んだならまちは、かつて、元興寺の境内だった。

 

♩「Kurikaesu春」

いいなぁ、こういう、のんびりのんびり歩いてさ。でもやっぱこういう場所歩くと、ほんまの自分が自然と出てくるっちゅうか。ここも空が広くてね。漬けもん屋さんもあり。うまそやなー。

 

おぅめっちゃ人おるやん、なんですか。あ、ロケやってんのか。出とこか、じゃあ(笑)しらーっと出てえぇんちゃうかな。通行人で。Special Thanks 堂本剛、出しといてくださいよ(笑)(他番組のスタッフに)おつかれさまでーす。不思議なかんじですね。

やっぱずっといらっしゃる方はね、もうなんもせんでえぇやん、えぇとこなんやねんから、って気持ちもすごわかるし、でも出て行った人からすると、こんなにすごいとこに住んでたんかってのは、ちょっと思うし、ここから、ほんとに何かを発信したり、価値観とか、感覚を発信することによって、絶対、何十年後とかに、ほんとに僕たちが生きてるなかでね、あ、やっぱこういう、昔のメッセージって大事やなぁ〜とかっていうのに、気づけるはずなんですけどね。

 

ふるさとを離れて15年。奈良が、心のなかで、膨らんでゆく。

ふたたび、平城宮跡へ。遠い昔、この場所で奏でられていたであろう雅楽に触れる。


(5人の雅楽師の演奏を聞き)すごいですね。奈良とかでこういう、雅楽師の方の演奏を聞くと、やっぱまた違いますね。この風に乗ってまたね、すごい遠くまで飛んだと思いますけれど。あー、いいですね、この夕暮れに、こういうの聞かしていただいて。

 

雅楽師・由利龍示さん:奈良在住。6歳の時、春日大社で雅楽に出会う。海外での演奏経験も豊富。


どういう思いで、この奈良という土地の上で、吹かれたり音出されたりされるんですか?いつも。


由利さん:雅楽っていうのは、アジアの、ユーラシア大陸全体の、もっとも古いオーケストレイションされた音楽で、それが初めて日本に伝わったのが、この奈良であって、そして奈良でどんどん成長していった、日本人の感性に溶け込んでいく、最初の土地が奈良だった、そんななかで、日本人らしい心理感っていうのがね、育まれていくっていう。その部分を大切に持ちながら、そして自分たち自身も、自然とかいろんなものから、いろんなエキスを吸収して、音として表現していく、っていうのが、僕のスタイルなんですけどね。

 

由利さん:日本人っていうのは結構、自然と、芸能なり建築なり、そういうものを一体化した文化っていうのを形成してると思うんですよね。今、堂本さんも、音楽活動されてる中で、それは感じることってあると思うんですよね。そのそのバックグラウンドがあるから、新しいものがクリエイティブされていくっていうね。1300年以上昔からの、芸能の積み重ね。また、建築とか法律とか、いろんなものの積み重ねが、今の日本の社会に還元されてると思うんですけどもね。


そうですよね。古き良きものを、やっぱ今一度、きちんと、感じる、考えるっていうことが大事なのかな、って思ったりしますね。

♩「ソメイヨシノ」(ギターで弾き語り)


進みすぎた、この時代と世の中に対して、ヒントをたくさん持ってる場所だと思いますね。いわゆるそのヒントというのは、いい方向に再建していくことであったりとか、いい方向に、人々の感覚とか意識、価値観っていうものを変えていく、メッセージがいっぱい、僕はここには残っているような気がします。この土地がある意味っていうのは、やっぱりちゃんと考えていかなきゃいけない気がするし、この土地が本当に何かを持っている、と、僕は、説得力ないかもしれないですけども、何か確信している感じというか、すごく強いですね。これだけ広い空の下で、これだけ広い土地が残っていて、でもこの広い土地が、ただ土地として残っているってことではなくてね、歴史と共に、土地が残っているということは、素晴らしいことだなぁと、思います。

こういう場所で生まれて、育って、そういういろんな時間を過ごしてきたっていうのは、ほんとにおっきいなぁと思いますよね。

奈良には、見えない力が、眠っている。