平安神宮LIVE 2019
テーマ「宇宙・いのち・感謝」
2019年9月13-15日(3公演)
◆メンバー
十川ともじ
Gakushi
竹内朋康
小林bobsan直一
森多聞
スティーヴエトウ
白根佳尚
SASUKE
Luis Valle
佐藤公彦
Tiger
平岡恵子
KAORU
◆セットリスト
NARALIEN
HYBRID FUNK
HYBRID ALIEN
Love is the key
4 10 cake Space drive ver.
E groove
音楽を終わらせよう HEIAN ver.
Precious Lover
火水(カミ)
◆奇跡の3日間
全日天候に恵まれるという、奇跡のような3公演。初日9/13は中秋の名月。美しい月に照らされながらの奉納公演となりました。約2ヶ月前の7/9に亡くなったジャニーさん、9/16に3回目の命日を迎える平安神宮名誉宮司・九條道弘さん、剛さんの胸に様々な想いが溢れていたのでは、と想像します。
◆メンバー/関係者の皆さんのツイートまとめ
◆音楽と人 2019年11月号 レポ4P
ここまで強く、誰かへの思いが現れたステージは初めてだった。そしてその歌が、より普遍的な人間愛へと形を変え、そして多くの人と人を繋いでいく。(文=金光裕史さん、撮影=河上亮さん)
◆Review by s.h.i.さん
堂本剛:19:00〜20:48。素晴らしい!!!!遅いファンクの表現力に聴き惚れるしかない序盤、プログレッシヴロック的展開が興味深い中盤、純邦楽とファンクの時間感覚を接続する終盤セッション、そして15分に渡る最後のMCいや講話。平安神宮という場に見合った&ここでしかできない最高のライヴでした。
今回まず心底唸らされたのが序盤の遅いファンクでした。原曲よりも格段にBPMを(ものによっては半分程度まで)落としたアレンジを走りもタメすぎもせずこなす演奏は極上で、この会場に完璧に合っているだけでなく表現力の面でも比類なく興味深いものを示してくれました。こんなの聴いたの初めてかも。
その上で改めて実感させられたのが堂本剛のファンク的歌唱表現の見事さでした。バラード寄りの楽曲でも過剰に感情的盛り上げをすることが全くなく、緩やかな波を描き淡々と潤う歌い回しを続けていく。微細な音色操作技術と気長な時間感覚が双方伴うからこそ可能になる技。本当にうまい人だと思います。
そして、そうした時間感覚(バンド全体の)が最も興味深い形で示されたのが最後の長いセッションでした。ファンク的展開の後のパーカッション〜キーボード〜コーラス部では定型BPMを放棄した雅楽的ノンビート進行になるのですが、その展開スパンが両場面でほぼ同じで、繋ぎに全く違和感がないのです。
ENDRECHERIの音楽においてファンクと純邦楽的要素が自然に並列融合されている理由について自分は↓のように考えていたのですが、今回のセッションを観ることで展開のスパン〜時間感覚(気の長さ)自体にも近いものがあることがよくわかりました。これは貴重な気付きでしたね。
[この「伝統的ファンクに近いが別物」な背景には「ファンクで多用されるブルースマイナーペンタトニックの代わりに日本の四七抜き5音階を使う場合がある」(似ていて置換容易)というのも少なからずある気がしますが、これに関しては過去曲も併せじっくり読み込みたいです。]
そして、そうした時間感覚は最後のMCというかもはや講和にも通常の単独公演↓同様発揮されていました。なかなか言い終わらない・簡潔にまとめてしまう気が(技術はあるけど意思が)ない話ぶりに接していると「ファンクとはふんぎりがつかないこと」でもあると改めて思います。
以上のことに加え一部楽曲のアレンジにも見所が多かったです。遅めのBPMでの7拍子進行となる中盤のセッション?(少なくともギターとコーラスは7拍ループ)はステージ後方の噴水が同一BPM4拍ループでポリリズムを成す演出もあわせ非常に興味深い。これは既出音源はあるのかな?じっくり聴きたいです。
終盤セッションのメインリフ(炎の噴水が出る場面)が24+25拍ループ(3×8と3×3・4・3×4)になるなど通常のファンクには出てこない変則リズム構成もありましたし、このグループの引き出しはやはり非常に多く、そして客を舐めずにそうした捻りをガンガン繰り出す姿勢もあることがよくわかりました。
以上を踏まえた上で素晴らしかったのが「こうした表現がTPOに完全に合っていたし、逆に言えばこの会場だからこそうまく聴かせられる表現にもなっていた」ということでした。映像演出も非常に良かったし涼しく晴れた天候もたまらない。最高のロケーションと言っていいのでは。
まあ音量は控えめだったので最後列中央(39列36番)にいた自分の所では迫力はそこまででもなかったですが、それがむしろ今回のような演奏表現には非常に良く合っていたと思います。限りなく贅沢な時間。行く前は「¥9000は少し高いかも」と思ったけどもいやいや安かったです。
他に印象的だったのはMC最初の一言。「宇宙は一昔前はファンタジーの対象でしたが最近は身近なものになってきたのかも」というのは確かにその通りで、P-FUNK等多くのファンクにある宇宙志向〜アフロフューチャリズムの形がどう変遷してきたか考えるのも大事かなと思いました。
という感じで、堂本剛の平安神宮奉納演奏は本当に素晴らしいものでした。こんな演奏表現をこのレベルでやっている大編成バンドはファンクに限らず観たことないですし、単純に居心地のよい空間としても最高級。ファンの人しか体験しないのは勿体なさすぎる。また行きたいです。