我が故郷「古都 奈良」の空のしたで、幾千もの愛を彩れることを心から嬉しく思います。今年2010年は、平城遷都1300年と云う奈良の歴史のなかで、私、堂本剛の歴史のなかで、重要な年になります。
現在も刻まれ続ける宇宙の歴史の果てで、飛鳥の光り輝く大地に立ち音楽を奏でられることを、心から嬉しく思います。このご縁へこの日へと導いて下さった皆様へ、そして足を運んで下さる皆様へ、感謝の想いが止まりません。
愛とは求めるものではなく 与えるものでありたい。
二度とない瞬間をひとつひとつ大切に感じながら、一度きりの自分を描けるこのステージをいまから待ち遠しく思います。
堂本 剛
(ライブHP掲載メッセージ)
◆朝日新聞 2010年4月22日
いにしえ まっすぐ
世界遺産劇場 第13幕 石舞台
人の心 救うのは奈良 - 堂本剛さん
奈良の出身ですが、石舞台古墳には最近まで行ったことがありませんでした。東京の人が東京タワーに登らないのと一緒かもしれません。でも3〜4年前、特に理由もなく、ぶらっと行ってみたんです。そうしたら、なぜここに石が積まれているのか、不思議に思うスイッチが入りました。歴史をいろいろ感じることで、今を生きるのに磨きをかけないといけないなって。
あの場所へ行っても、石が積み上げてあるだけと思う人もいるし、純粋に雰囲気を楽しむ人もいると思う。どう感じるかは自由でいい。奈良は、そんな人の心を素直に表してくれるエリア。何か、自分を知ることができる場所だと覆います。
これまで、地味で主張していないのが奈良っぽくて、そこに胸張ってればいいと思っていました。だけど、作品に奈良のフレーバーを自然に入れることで、若い世代にも日本の心の原点や、四季を感じられるこの国の素晴らしさを、さりげなく気づかせてあげることができる。今の人の心を救うのは奈良なんじゃないかと思っています。たまたま自分が生まれた場所なので、そういう作業も自然にできるんです。
僕にとって地元で歌うということも、すごく自然なこと。深く考えず、意気込みはそこそこにするくらいがちょうどいいのかなって、夜空の下で歌う時間なので月がテーマに入ってくればいいけど、そういう曲は作っていない。何か自然に対してさせさげるニュアンスで歌おうと思います。飛鳥という大地に息づいているメッセージに対して、まっすぐ音を出せたらと。
ステージも石舞台古墳を見つめる位置にある。石舞台とコンタクトを取りながら、その間で挟まれる観客のみなさんに感謝の気持ちを込めて、自分の音楽で抱きしめてみたいんです。
今年は、平城遷都1300年の節目の年。僕も「奈良人」として奈良を勉強し、外の人に与えることのできる知識を得て、来年から何が仕掛けられるかを探りたい。見えなかったことが見えるきっかけとしても、奈良はやさしくかかわってくれる土地。多くの人にぜひ、足を踏み入れてほしいと思います。