Fashion Press: アツシ ナカシマ 2020年春夏コレクション「レイヤードの矛盾」- ショー音楽は堂本剛が担当
◆2019.10.26 ファッション通信
音楽は継続して堂本剛によるENDRECHERIが手掛ける。幻想的な音楽と相俟って、エキセントリックな雰囲気を醸し出していた。
アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)の2020年春夏コレクションが、2019年9月22日(日)にイタリア・ミラノで発表された。今回もまた、ショーミュージックは堂本剛/エンドリケリー(ENDLICHERI)が手掛けた。
「透視」をテーマにした“僕にしかできない”コレクション
テーマに「CLAIRVOYANCE(透視)」を掲げたアツシ ナカシマの2020年春夏シーズン。コレクションを俯瞰して見れば一目瞭然で、そのテーマと向き合える。特に今回は、デザイナーの中島篤が「僕にしかできないことを」と、自身の得意なパターン技術だけでなく、ドローイングやプリントに注力したという。
着ることで人体を強調する矛盾
前シーズンは、堂本剛のドローイングをワードローブにのせたが、今季は絵の得意な中島自らが筆をとった。テーマを如実に表すシースルーの素材には、トロンプルイユのように人体を描いて、着る人の“中身”を浮き彫りにする。あるいは、ジャケットを着ることで、むしろインナーのシャツがメインとなるレイヤードなど、今回は“服を着る”その行為に矛盾が生じる。
透明感のあるテキスタイルは、必ずしも繊細な印象や儚い印象だけを魅力とするわけではない。例えば、オリジナルUSAバンダナの柄は、トレンチコートへのドッキングでマニッシュへ解釈されることもあれば、フリルをあしらったクラシックワンピースとのアシンメトリーなドッキングでフェミニンなムードに変容する。
光をあえて可視化した、プリズムを想起させるマルチカラーの幾何学的グラフィックは、シースルー素材への反映によって、また再び光の繊細さに帰来する。ランウェイでは敢えてパンチのあるグラフィックとともにあわせているのが印象的だ。
本質への問いかけか――表裏をつくらない服
もうひとつテーマに通ずる部分として、裏を外に出すデザインも特徴だ。アウターは、ライニングの構造を表に出したような素材感やシルエットで展開した。レイヤードで魅せる透視とはまた異なり、服の本質的部分への問いかけにも感じられる。