🔷剛さんが生まれて初めて作詩作曲した曲。“LOVELOVEあいしてる” でギターを始めて半年後の1997年3月(17歳)に初披露。
🔷「LOVE LOVE あいしてる」でギターを学んで半年。Fが弾けるようになった剛さんが作った、珠玉のバラード。1コーラス目の歌詩は当時書いたもの。彼のピュアで温かい心を感じます。2コーラス目は、存在しないと思われていたため(実際には存在し、番組HPに掲載されています→オリジナルの歌詩)、33歳の剛さんが書き加えた詩。深いところでは全く変わっていない剛さんのまっすぐな優しさ・温かさ・真面目さ…ギターとの出会い…LOVE LOVEでの思い出…聞く度に様々な感情や風景が胸をよぎる、ファンにとっても特別な一曲です。
吉田拓郎さん(Y) 坂崎幸之助さん(S) 堂本剛さん(D)
Y 僕は今日は嬉しい.今日はお父さんとしては泣いてもいいなってぐらい嬉しい.もうね,ギターをいろいろやってきましたけども,ついに堂本剛が,自分で詞を書き,曲を作るようになったという.もう大変なことだ.
S あちらで練習してますけど.
Y すみません,作詞作曲の先生.その「優しさを胸に抱いて」.
S いいですね.
Y いいタイトルじゃないか,おい.どういう歌なの?
D これはですね,友達が俺に電話してきて,その後に書いた詞なんですけど.まあ,とりあえず「今なにやってんの?」っていう話から,「今ちょっと一人やねんけど」っていう話で.それで「なんで俺ってこんなに弱いんやろ?」って.
Y 友達が?
D そう言うんですよ.でね,この「別れ」という二文字は,すごく重いじゃないですか.「こんな言葉は必要ないって思っててんけども,口にするだけでも辛かってんけど,僕は最後につぶやいて頑張ってん」て言うてたんですよ.「このままいると,好きな人を傷つけていくから,僕は頑張って言ったんや」って泣きながら僕に語るわけですよ.「君の涙を見るたびに切なくて,君以外に誰も愛せないのがわかってたけども,別れて,君にもらった今までの優しさを胸に抱いて」っていう.
Y うん.詞を読んでいるだけじゃないか.
T まあ,簡単に言えば.
Y すごい詞だね,しかしね.
Y これは作品としては処女作っていうか,最初の作品?
D ってことですね.
Y で,曲も付いてるわけでしょ?
D いちおう付いてるんですけど.
Y そのいちおうをちょっと聴いてみないと.
《♩優しさを胸に抱いて 弾き語り》
D っていう歌です.
Y いや,すごい!
S メロディアス,すごい!!
Y コード進行もメチャクチャ奇麗でね.よくそんなコード進行わかったね.すごいいいね.盛り上がりとかもちゃんとあって,サビがあったりとか非常によくできてるね.
S 僕らのアマチュアの頃のレベルとぜんぜん違いますよ.
Y 俺の一番最初をの曲なんかね,俺の高校の時作ったいちばん最初の曲って,笑うよ
《♩じゅんちゃん》
Y おまえ,これはおまえね,情けないぐらい. でも,「優しさを胸に抱いて」はコード書いてもらって,俺たちでちゃんと演奏しよう.
S そうですね,いずれ.
D そうですか.
Y 近いうち.全員できるようにしよう.ハーモニー付けたりとか.
D おお,すげぇ.
Y これ,ステージで出来ればLOVE LOVEで.
D 僕がパンツ一丁で書いた詞ですよ.
Y それ,聞きたくなかったな.これは歌はこれでフルコーラスなの? 歌詞は?
D いや,いちおうまあ,とりあえず作ったっていう感じなんで.
S 2番欲しいですよね.
Y うん.
D あ,2番ですか.
Y 予想外の展開だったね.これはぜひ2コーラス目も聴きたいですね.それで曲として仕上げて,みんなで演奏しましょう.
S いいですね.
Y 今日は先生,ありがとうございました,いい曲を.
D いや,こちらこそありがとうございました.
🔷堂本剛とFashion & Music Book 2021.12.11
つよしんぐわーるどレポ
(韓国のファンの、“今日急に「優しさを胸に抱いて」を聴いて思わず涙が出てしまいました”というメールに対して)
「優しさを胸に抱いて」っていう曲は、いわゆる失恋ソングと言うか、別れの歌ではありますけれども。なんかこう、別れの歌って色々あって、別れた人を一方的にせめて、自分は悪くなくて、ということとか、強がって、とかいろんな表現あると思うけど、いや、なんか攻めたくないよな、と思うのは、僕はずっとあるっていうか。その人がいてくれたことで今の自分だってあるわけだし、と思うと、全て否定することなんだろうか?って言う気がしちゃうから。恋というものは。
だから、恋のままで終わってしまってたら、そうなっていくかもしれないけど、恋から愛に変わった状況で過ごす時間が多かった2人だったとしたら、そんな気持ちってないよな、みたいな。
2人で出した決断とか、2人で歩いている「今」というものが、悲しいことではなくて。明るいことではないいけれども、2人で決めた「今」だし、2人で決めた答だから、それを愛してあげるっていうことが、やっぱり必要かなっていう。そういう気持ちが込められているのかなと思います。この曲には。
あの日誓った約束も守れなかったな〜、君以外誰も愛せないっていうことはわかってたけど。っていう。何ていうのかな、未練タラタラな歌があまり好きではないから、そうではなくて。男の人のラブソングに結構多いねんけどね、未練タラタラな感じっていうか。
でも、その人を、愛する人を、また違う愛し方というものに気づいて、愛していくっていうのかな。別れたあとも、愛していく、なんかそういう気持ちを綴った曲だと思います。
ドラマとか映画とかで役者する時と同じで、この歌詩の人になりきるっていうのかな、この歌詩の人、この言葉の意味をちゃんと伝えるために演じてる、ってわけではないけど、 伝えるたえめにその“ゾーン”に入って歌うってことをいつもしてるから、そういうエネルギーが飛んでいくというか、エネルギーを込めてるのでそれを感じ取ってもらったんじゃないかな、と思います。